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2016年11月19日 図書館通信 「らいぶらりーNEWS 初冬号」&「BOOK TIME 2016年度 第4号」発行中

図書室通信高校版「らいぶらりーNEWS」から、冬が近づく季節に読むおすすめ本

興味を深めるさらなる一冊
 知らなかった世界を知り、おもしろさに興味を抱き、そしてさらに知りたいと思う。抱いた興味を深めるために読む、さらなる一冊 

言葉と戦い、言葉で生きる
「辞書になった男」(閲813―サ) 佐々木健一著 文藝春秋
「三省堂国語辞典」と「新明解国語辞典」。かたや堅実、かたやユニークと称されるその誕生には誰にも知られていない二人の辞書編纂者の確執があった。長年謎とされてきた袂を分かった二人の辞書編纂者と二つの辞書。言語の海へ足を踏み入れた者は広く深いその世界に自らの人生すらも左右される。辞書編纂の裏に秘められしミステリーが今明かされる。
 
「海の祭礼」(閲B913-ヨ)吉村昭著 文春文庫
 彼が目指したのは遥か遠き異国「ニッポン」。日本へ憧れ密入国したアメリカ人ラナルド・マクドナルド。そして捕われた彼から英語を教わり、のちにペリーをはじめ諸外国との交渉役として抜擢された幕臣森山栄之助。通じなかった言葉が通じ、言葉にならない友情となっていく。日本の開国には国と言語を越えた知られざる交流があった。日本人と英語、その出会いの物語。
この冬注目の二大映画―原作にふれ、そしてさらに一歩深める関連書を読む
1945年、広島、呉、私はこの世界で生きている。―「この世界の片隅に」 (閲C726-コ-1~3)こうの史代著 双葉社
そしてあの日、“この世界の片隅に”起きたこと
「トランクの中の日本」(閲O210.7-オ)ジョー・オダネル著 小学館
 弟を背負い無言で火葬場に立つ少年を写した一枚の写真。それは降り立ったかつての敵国でシャッターを切った一人の軍人のプライベートフィルムの一枚。公開されることなくトランクの奥にしまわれ続けていた写真に写るのは、あの日あの時の日本の姿。アメリカで展示拒否された写真展が見せる、戦争のあと。
 
「原爆の落ちた日」(閲B210.7―ハ)半藤一利・湯川豊著 PHP文庫
 その時、アメリカ・ドイツ・日本の各国で『その考え』は浮かんでいた。強大なエネルギーを生み出す原子力の兵器転用、しかしそれがもたらす『結果』にまで考えをおよぼした者は誰もいなかった。絶滅兵器が考えられ、作られ、そして使われる『あの日』までを克明に追う歴史ノンフィクション。
 
魂を削り、命を削り、己が生を盤面に刻み込んだ男の生涯―「聖の青春」(閲YB796-オ)大崎善生著 講談社文庫 または(閲796-ム)
私たちの知らない棋士の世界
「透明の棋士」(閲796―キ)北野新太著 ミシマ社
「今宵あの頃のバーで」(閲796―セ)先崎学著 日本将棋連盟
 棋士の世界は複雑怪奇、世間の常識が通用しない不思議な世界。一つの負けが人生を狂わす過酷な場で戦いながら、将棋イベントで気の抜けるような失敗だってする。どれもこれもが棋士の一面、将棋担当記者と現役棋士が語る将棋で生きる人々の人間模様。
 
「羽生善治 闘う頭脳」(閲B796―ハ) 羽生善治著 文春文庫
 15歳からプロとして最前線を走り続け、将棋をよく知らない人でもその名は知っている天才棋士、羽生善治。思考力・判断力・勝負力、私たちとは圧倒的に違う棋士としての頭脳は我々の世界をどのように見ているのか?様々な対談やインタビューから棋士・羽生善治の頭の中に分け入っていく
今月の新書
「プラネタリウム男」(閲N440―オ)大平貴之著 講談社現代新書
 天の光はすべて星、それは一人の技術者が夢見た理想のプラネタリウム。百万の星を地上より投影する、飽くなき挑戦の日々が始まった。人間関係の不和、技術的葛藤、自らが作ることへの存在意義、様々な壁にぶち当たっても、彼は理想の星空を目指し続けた。不可能を証明することは誰にもできない、夢を現実にした一人の男の星を求める物語。
 

図書室通信中学版「Book Time」から冬のはじまりに読むおすすめの本

体内の特殊能力が発動する!
 特殊な血を受け継ぐ男、想いのこもった襷を受け取る少女、おんぼろ軍艦を引き継ぐ中佐、最後のマウンド託される投手…、冬の新着本は、期待を背負って戦う者たちの物語です!
冬のイチオシはこれ!
「血と霧」(閲YB913-タ-1・2)多崎礼著 ハヤカワ文庫
 血液に特別な力が宿る人々が暮らす都市国家ライコス。その最下層区域で探偵業を営む、「ロイス」のもとに〈奇跡の血〉を持つ少年の捜索依頼が舞い込んだ! しかしその事件の裏には国家転覆を企む者たちの影が…! 血に支配された国で巡る戦いが始まる!
 
青春小説
「襷を、君に」(閲Y913-ハ)蓮見恭子著 光文社
 中学最後の大会で走る喜びに目覚め、陸上部に入った「歩」が出会ったのは、走ることに絶望した天才少女だった!能力も境遇も違う二人が自分の弱さに向き合い、互いを信じて一本の襷をつないだ先に見るものとは?感涙必死の駅伝小説!
 
空想科学
「住んでみたい宇宙の話」(閲Y518-タ)竹内薫著 キノブックス
 月の地底パイプ住宅・金星の空中都市・タイタンの潜水艦住宅・宇宙空間のスペースコロニー…、近い将来やってくる宇宙の暮らしをリアルにシミュレーションした、空想宇宙生活読本!
祝!〈広島カープ〉リーグ優勝!
広島カープ25年ぶりのリーグ優勝を祝して紹介する
「エンジェルボール」(閲YB913―ヒ-1~4)飛騨俊吾著 双葉文庫 
 広島カープに、180キロの剛速球を投げるおっさん投手が、突然現れた! この男は一体何者なのか?笑いと感動の野球小説です!
絶望だけが人生だ!
「絶望名人カフカの人生論」 (閲YB943-カ)カフカ著 頭木弘樹編訳 新潮文庫
 仕事に絶望し、学校に絶望し、親に絶望し、世の中に絶望し、自分自身にすら絶望した男の、ダークな絶望名言集!これは暗い!暗すぎる!
速やかに去りゆく秋、足早に訪れる冬の気配
落差激しい日々の寒暖、三寒四温はどこへやら
しかし近づく行く年来る年、慌しくも心躍る、暮れの時期
うつりゆく季節を眺めつつ、明日へと生かす変わらぬ知を書よりいただく