中2 意見発表会

 10月16日(土)の放課後、中野区立第九中学校体育館で「中野区内中学生による『中学生意見発表会』」が行なわれました。今年で15回を数えるこの意見発表会は、中野地区青少年対策連絡会の事業活動の一環として行なわれるもので、中野区役所、中野区教育委員会、中野区中学校PTA連合会、中野・野方母の会、中野・野方警察署の後援を得て実施されます。
 中野区内の各中学校を代表した20名の生徒が、家族、学校生活、地域活動、友達との関わりについて日頃考えていることや、未来への希望、社会や世界へ向けての意見を5分で話しました。

開式は13時30分。壇上の来賓の挨拶の後、中学生20名が意見を発表します。

本校を代表した生徒の演題は「大人の役割」。堂々とした発表でした。当日の発表内容の全文はこちら

代表生徒を応援するために、同学年の友人が会場の中央を陣取りました。

発表を終えた生徒には記念品の贈呈がありました。

『大人の役割』


中学2年E組 S.H

 みなさんは日常、家族とどんな会話をしていますか。私は家族と色々な会話をします。例えば、一日のたわいもない出来事や日々身の回りで起きていることや社会の出来事などです。私の父は田舎の大家族で伸び伸びと育ち、私によくその話をしてくれます。また、私も学校の長期の休みには父の実家をよく訪れます。そこでは、都会の日常生活とは違った体験が出来ます。例えば、小さな子が泣いているとだれかが優しく「どうしたの」と声をかけ、お年寄りが困っていると自然に手伝うことが出来る若い人たちがいます。また、田舎には都会にはあまりない行事があります。夏の「お盆」の時には、お墓参りの後、近くの親戚や近所の人たちが入れ代わり立ち代わり来て、集まり、色々な話をして帰って行きます。私には一年に一回位しか会っていなくても、相手の人はよく覚えていてくれるので驚きます。冬休みには「もちつき」があり、近所の人たちも手伝いに来てくれ、若い人たちは主に、力仕事を手伝ってくれながら、世代を超えて色々な会話が弾みます。このように、田舎では、声を交換する関係が自然と出来上がっています。なぜ自然に出来ているかというと、人間関係を広げていく機会が多くあり、ほんの数秒でも相手を思いやる気持ちが、素直に出てこられる環境があるからであり、社会が年齢の隔たりに関係なく成り立っているからだと思います。
 さて、このような例を学校生活に置き換えてみます。部活動などで仲間を応援したり、励ましたり、団体行事や運動競技などで、全員が一つの目標を目指して、全力を尽くし、協力し合う。さらに、小さなことかもしれませんが、隣の席の同級生を気づかったり、物を忘れた時に貸してあげたりする。このようなことが声を交換する第一歩であり、また、重要なことであると思います。
 一方で、都会では、良識のない人たちが多く、公共の場において常識とは程遠い言動をとっていることを目にします。例えば、中高生が電車内などで席を二人分とって足を開いたり、また、道路では、道に広がって歩いたりするなどの行為が見られます。これは、かつての日本のように、積極的に人々とコミュニケーションをとらず、子供を社会で育てようという意識に欠けているからでしょう。
 最近の大人は、他人との関係を拒み、子供を自分の考えだけで育てがちだと思います。だから、大人は自分の子と他人の子を区別せずに、愛情や優しさをもって積極的に声をかけるべきなのです。一度で聞き入れてもらえなくても、しっかりとした態度で根気よく声をかけることが大切です。少しずつでも大人の意見に耳を傾けられるようになったら、その子供にとって、大人から声をかけられたことは、これからの人生においてのよい経験となるでしょう。そして、声をかけた大人は、社会に貢献したという達成感を得られるばかりでなく、他の大人たちに、自分もやらなければならないという義務感を生じさせることでしょう。

 そして、この関係が、やがては声を交換する形となり、子供を社会で育てる環境づくりのもとになると思います。それには、大人一人一人が、だれかがやってくれるだろうという安易な気持ちをもたず、誠意をもって取り組み、私たちは大人のアドバスを素直に受け止めなくてはならないと思います。そして、この「子供を社会で育てる」という考え方を実践し、さらに次の世代へ伝えていくことが、今の大人たちに求められている役割ではないのかと思います。