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2019年11月25日 図書館通信 <高校・中学への図書館ニュース + 十一月注目の新刊> 発行

高校生への図書館ニュース「らいぶらりーNEWS 立冬号」

ひとくくりに出来る“ふつう”の“みんな”なんかいない
あるがままをそのままに、隣り合って生きる多様性を知る
「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」(376-ブ) ブレイディみかこ著 新潮社
 人種も文化も階層も多種多様に入り乱れるイギリスで始まる中学生活。そこは貧困・偏見・差別にいじめは日常茶飯事、常識も良識も一文にならない現代世界の暗い縮図が押し寄せる。けれども目の前の現実に目を背けてもいいことなどない、価値観を揺さぶられ続ける母とそういうもんだよと冷静に受け止めながら懸命に何かを変えようとする息子。多様化する社会でのアイデンティティを考える、思春期怒涛の英国中学生日記。
 
「心の鏡」(B933-キ)ダニエル・キイス著 ハヤカワ文庫
 心とは頭の中か、心臓の奥か? 体のどこかに感じる疼き、言葉にしてはきだせないなにかの感情を、どこかの誰かの物語があなたの心の内をすくいとる。「アルジャーノンに花束を」の原型中編を含む、通じ合わない心の悲しみ、しかしちょっとの希望を描くキイス珠玉の短編集。
長編版「アルジャーノンに 花束を」(YB933-キ)もこの機に一度。
 
「記憶する体」(369-イ)伊藤亜紗著 春秋社
 自分たちが“ふつう”だと思っていることは往々にして思い込み。体とは人それぞれのローカルなもの、同じ感じ方を持つ人などいるわけがない。表面的には見えにくい人それぞれの固有性を様々な障害を持つ人へのインタビューで明らかにし、肉体と意識の間の関係性を考えていく。
 
「手で見るいのち」(378-ナ)柳楽未来著 岩波書店
 目の前に置かれているのは何かの生き物の骨、生徒たちは好きに触って特徴を感じ、考えながら答えを導く。これは盲学校で行われる生物の授業の一コマ。学ぶことを妨げるのは思い込みだけ、当然を乗り越えた授業が見せる学びのかたち。
 
「目に見えない世界を歩く」(N369-ヒ)広瀬浩二郎著 平凡社新書
 目が見えないからこそ見える世界がある。自身も全盲の著者がその研究の成果〈触れる〉文化を提唱する。普段見落とすものへの気付きが世界を少しずつ前に進めていく。真に障壁から自由な社会を目指し提言する、新たな世界へのヴィジョン。
 
「みんなの『わがまま』入門」(309-ト)富永京子著 左右社
 日々生きていく中で感じるモヤモヤやイライラ。“みんな”で一括りにされるのも納得できないけど、何か主張して自分勝手とは思われたくない。そんな違和を感じて結局我慢するなら、ため込まないで“わがまま”を口に出してみよう。自分はここにいると声を出す、それが社会への参加の一歩。社会に対しての声のあげ方を教える、社会運動入門。
 
より深めるためのもう1冊―たった一人の世界なんてない
「日本の異国」(334-ム)室橋裕和著 晶文社
「移民の宴」(383-タ)高野秀行著 講談社
「外国人労働者・移民・難民ってだれのこと?」(334-ナ)内藤正典著 集英社
「学校では教えてくれない差別と排除の話」(316-ヤ)安田浩一著 皓星社
「自閉症の僕が跳びはねる理由」(YB378-ヒ-1・2)東田直樹著 角川文庫
「吃音の世界」(N496-キ)菊池良和著 光文社新書
「心の病気ってなんだろう?」(493-マ)松本卓也著 平凡社
「性の多様性ってなんだろう?」(368-ワ)渡辺大輔著 平凡社
AIvs人間―戦わなければ生き残れない?
「AIvs.教科書が読めない子どもたち」(007-ア)新井紀子著 東洋経済
 AIは喧伝されるほど万能でも天才でもない。どんなに高性能になってもただの計算機では人間を代替することなど不可能、なはず。しかし人間だけの〈読み・解く〉能力を人間の方ができなくなり始めているとしたら? 進み続ける技術の先ですべての人が価値ある生き方をおくるために、未来の社会の担い手へ鋭く警鐘を鳴らす。
 
「未来の二つの顔」(B933-ホ)J.P.ホーガン著 創元SF文庫
 人工知能が引き起こした事故の原因を解明すべく、人類は都市コロニーを使って、人工知能を制御するための壮大な実験を行うことになる。人工知能は人類の敵となりうるか? 現代での対峙を予見したかのような人工知能と人類の対決を描くSF。
 
AIvs人間―AIには向かない職業
「美を求める心」〈小林秀雄全作品21〉(T918.68-コ-21)小林秀雄著 新潮社
 この世の隅々にあふれる多彩なものやことば、それらに表面的な情報以外の何かを見出せるのが人間だ。目に見える価値を測ろうとするだけでは表層をなでただけに過ぎない。美とは? 芸術とは? 批評の巨人の遺した言葉が今の価値観を鋭く問い直す。
 
「木のいのち木のこころ〈天・地・人〉」(B526-ニ)西岡常一ほか著 新潮文庫
 法隆寺などの千年以上も前の建築物が今も建ち続けているのは技や術が伝わってきただけではなく、人と向き合い育てることが繋がってきたから。人から人でしか伝えらない/伝わらないことがある。過去から受け継ぎ、次代へおくり続ける“継承”の文化を、伝説の宮大工とその弟子たちが語る。
 
より深めるためのもう1冊―AIは羽ばたく蝶の夢を見るか?
「AIに負けない子どもを育てる」(370-ア)新井紀子著 東洋経済
「銀河帝国は必要か?」(N538-イ)稲葉振一郎著 ちくまプリマ―新書
「働きたくないイタチと言葉がわかるロボット」(007-カ)川添愛著 朝日出版社
「BEATLESS」(913-ハ) 長谷敏司著 角川書店
  ※角川文庫版もあります-(B913-ハ-1・2)
「考えるヒント」(B914-コ―1~3) 小林秀雄著 文春文庫
  ※「小林秀雄全作品」にもあります-(T918.68-コ-23・24)
「手業に学べ 心/技」(B384-シ) 塩野米松著 ちくま文庫
今月の名言
「知之為知之(これを知るをこれを知ると為し)
 不知為不知(知らざるを知らずと為す)
 是知也  (是れ知るなり)」(「論語」為政篇)

中学生への図書館NEWS「図書館通信 “pictorial book”-いろいろな図鑑号」

「図鑑は世界が広いことを教えてくれる!」(養老猛司)

「地域の発展につくした日本の近代化遺産図鑑」(O602-チ-1~4)
「リアルサイズ古生物図鑑 古生代篇」(O457-ツ)
「くらべる骨格動物図鑑」(Y481-カ)
「寿命図鑑」(YO461-ジ)
「国家公務員の仕事図鑑」(366-セ)
「文房具の解剖図鑑」(589-ヨ)
「日本の祭りの解剖図鑑」(386-ク)
「売り声図鑑」(O384-ミ-1~3)
「美しき小さな雑草の花図鑑」(470-オ)
「犯罪学図鑑」(368-ハ)
「続英単語の語源図鑑」(834-シ)
「コンピュータサイエンス図鑑」(007-ク)
「New Scientist起源図鑑」(YO033-ロ)
「時間の図鑑」(O421-ハ)
「ブルートレイン大図鑑」(686-ブ)
「統計学の図鑑」(417-ワ)
「まぎらわしい現実の図鑑」(YO400-ミ)
「花火の図鑑」(575-イ)
「江戸落語図鑑」(779-イ)
「街角図鑑」(049-マ)
「世界の戦争廃墟図鑑」(O209-セ)
「名建築の空想イラスト図鑑」(520-メ)
「学研の図鑑 超人」(O031-チ)
 ※請求記号についているОやYОは別置記号です。それらの本は大型本コーナーに並んでいます。

「壁は全て自分が作っている!」(養老まる)

11月注目の新刊


小野不由美「十二国記 白銀の墟 玄の月 全4巻」         
山崎聡一郎・伊藤ハムスター「こども六法」
今野英樹「走れ!ダンボルギーニ!! 」
加藤直樹「TRICK「朝鮮人虐殺」をなかったことにしたい人たち」
土屋 健・黒丸「古生物食堂 」
瀬名秀明「小説ブラック・ジャック」
劉 慈欣「三体」
堀本裕樹「ひぐらし先生、俳句おしえてください。」
「モンテーニュの言葉」


新刊!!
続々入荷中!