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校長挨拶

清水校長02

明治大学付属中野中学・高等学校 校長 清水 孝
 創立90周年を迎えた本校は、100周年へと歩み始めました。情報社会の終焉を迎えた今日、日本もSociety5.0の時代を迎えています。IoT・AI・ロボット・ビッグデータ等が生産性革命を牽引するとされ、それらが機能することで、分野によっては既存の仕事に人間が従事する必要はなくなる、といったことが喧伝され、世界を震撼させました。世の中の変化が著しく、予測をはるかに超える社会的進化は、私たちの身近でも十分に見て取れます。
 
 こうした予測が困難な時代、変化が激しい21世紀を、現在の中学生や高校生が生き抜くために学校はどうあるべきか、学校はどのような教育をすべきか、と中学・高校現場で模索が続いています。本校は、「質実剛毅・協同自治」を校訓とし、「みんなで仲良く、正直に、真面目に、精一杯努力しよう」を合い言葉に教育活動を実践していますが、校訓や合い言葉は不易であり、明大中野の精神として、1929(昭和4)年の創立以来、大切に継承されてきました。
 
 一方で、変化が激しく、科学技術の進展が著しい今後は、学んだ知識が短いスパンで陳腐化するとも言われ、そのような世の中を生き抜く生徒を育てるにあたっては、社会の変化や生徒の変容を踏まえ、地域や保護者のニーズも意識した、不易との対に位置する今日的な学校教育目標を策定する必要があります。
 
 昨今、非認知能力が注目されています。学校で学び、身に付けた知識、いわば従来型の学力を認知能力と称するのに対し、獲得した知識や技能を活用する資質や能力を非認知能力という言葉で括り、新しい能力(21世紀型学力)としています。古くは「生きる力」として提示されたことをご記憶の方も多いでしょう。(文部省・1996年)
 
 従来型の学力(認知能力)を担保し、それを教養として育みつつ、21世紀型学力(非認知能力)の伸長を図ることが、これからの世界を生き抜くために必要であるのは間違いありません。校長に就任するにあたり、中長期的な目標として、学校教育目標を次のように定めたいと考えています。

《 学校教育目標 》
 自ら課題を見つけて探究し、生涯に亘って学び続ける姿勢を養い、挨拶・礼儀・節度を身に付けた、人や社会とのつながりを意識し、他者を尊重でき、想定外、予測不能なことに対峙し乗り越えられるたくましさを備えた生徒を育てる。

 学校教育目標に込めた知・徳・体の尊重は、従来より本校が目指すところであり、創立以来の精神を踏襲しています。この目標を踏まえた非認知能力としての資質・能力(コンピテンシー)を、私は「自律性・論理的思考力・討論力」であると考えています。生徒に自ら学ぶ姿勢や絶えず学び続ける姿勢を身に付けさせること、飛躍や矛盾なく物事を考えられる力を育むこと、異なる価値観や多様な考えを尊重し、言葉によるベストミックスを図るために、教科学習・クラブ活動・生徒会活動・行事といった全ての教育活動を展開することが求められます。
 
 新学習指導要領の導入〔小学校・2020年度、中学校・2021年度、高校(年次進行)・2022年度〕、英語教育改革、大学入試改革と、今般の教育改革は明治維新後最大の改革とも言われています。そのような中を、本校創立100周年に向け教職員が一致団結し、不易と流行の融合を図りつつ、歩むべき道を着実に進むことを目指してまいります。