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2020年9月16日 図書館通信 図書館ニュース残暑号 発行

※図書館ニュースは現在図書室内で配布しています。

地図があればどこでも行ける 机上でブラブラァ街巡り

地図がこの世の森羅万象を解き明かす!

俯瞰からの風景は 遠くに見えて、実は近い
「地図感覚から都市を読み解く」(291ーイ)今和泉隆行著 晶文社
 ほどよくディフォルメ、カラフルに色分け、大まかな距離間も分かる、地図があれば行ったことのない場所でも目的地に着ける。でも実際はこんな光景ではないのになんでこれで分かるのだろう? 私たちは地図に何を見ている? 空想地図の第一人者が、地図が私たちに見せているもの/見えているものを解き明かす
 
地図帳は面白エンタメブック
「地図帳の深読み」(448ーイ)今尾恵介著 帝国書院
 地図帳はただの教材ではない。それはその一冊で私たちを世界中へと導いてくれるガイドブックだ。地名、国名、境界、等高、自然山河に人工物、名物に名産まで。見どころそのまま地図の上、実はその正体はとってもラディカルな旅行ガイドだった? 深く長く地図帳を楽しもう。一生手元に置いておきたくなる地図帳の手引き。
 
ソ連謹製(無許可)世界地図のすべて
「レッド・アトラス」(392ーデ) ジョン・デイビス、アレクサンダー・J・ケント著 ナショナルジオグラフィック
 その昔どこよりも素早く、詳細で正確な世界地図を作った国家があった。東西冷戦が過熱する中、ソ連はあらゆる手を使って東西主要都市の地図を作りあげた。当事国以上の精密さを以て作りあげられた地図、謎のベールに包まれた驚異の地図の全貌が今、明らかになる。
 
ありそうでなかった路線図『だけ』
「日本の路線図」(686ーニ)宮田珠己・井上マサキ・西村まさゆき著 三才ブックス
 国鉄私鉄三セクに新交通、全国各地の公共交通機関の『路線図』を集めてみた。同じように見えて各地域の特徴が現れる路線図、その姿はまさに千差万『鉄』。眺めるだけでも、どこかに行った気になれそう。ありそうでなかった『ただ』路線図だけを集めた図鑑。
 

街を歩けば名建築にあたる

「看板建築」(523ーカ)トゥーヴァージンズ
 それはこの国が独特独自に生んだ『建築様式』。持ち主の要望と職人の高度の技術が合わさり生み出された和洋折衷の不思議な建物。洒落たモダンさと不思議な懐かしさが同居する、この国のある時代の景観を象徴するもの。いつも目の片隅にとめながらふといなくなった時に気づく、下町情緒あふれる看板建築のすべて。

「にっぽん建築散歩」(523ーコ)小林泰彦著 山と渓谷社
 都市の発展はスクラップとビルドの繰り返し。けれども日本の多くの街は古いものと新しいものが自然に並存するパッチワークのような街がいくつも残る。街の風景はその街がたどってきた歴史を映し出し、立ち並ぶ建物がその記憶を語ってくれる。歩いて巡る名建築で歴史散歩。
 
「帝国ホテル建築物語」(913ーウ)植松三十里著 PHP研究所
 それは日本が国際国家となるための一大プロジェクト。世界に比肩する建築を日本人の手で生み出そうと多くの人々が心血を注ぐ。しかしその道は苦難の連続、災禍や時代に翻弄され続けてきた。すべては後世へ繋ぎ、語られ、残すため、日本が誇る名建築の誕生秘話。

街角散策の手引き

「街角図鑑」「街角図鑑 街と境界編」(049―マ)三土たつお編著 実業之日本社
 街中でちょっと視線をずらし目を凝らして見てみよう。そこに標識・遊具・鉄塔・電線・ビルの室外機など、街に埋没する細かなディティールが目に入る。何気ない風景も構成される様々な『もの』の名を知ることでその解像度が変わっていく。見ている風景に新たなレイヤーを重ねよう、街角なんでも採集図鑑。
 
「東京『街角』地質学」(524ーニ)西本昌司著 イースト・プレス
 東京で『奇石』に出逢う。ビルの外壁、ホテルのロビー、百貨店の装飾など、都内ではそこかしこに様々な時代や場所の珍しい石を見つけられる。コンクリートジャングルの中に地球の生み出した神秘を見つけにいく、東京街中地質学。
 
「東京多叉路散歩」(291―オ)荻窪圭著 淡交社
 道と道の交わる交叉点、人が増え道が増えれば自然と交差し分かれる道も増えていく。三叉路に四叉路、なんと九叉路まで実在する?重なり交わり並び連なりまとまり消え去り残される、東京各地のふしぎなクロスロードが土地の記憶を呼び覚ます。
 
街角散策に強い戦友(とも)を、 ブラタモリも揃ってます

「ブラタモリ1~18」(291―ブー1~18)KADOKAWA

幻想都市を行く

「まぼろしの奇想建築」(520ーウ)フィリップ・ウィルキンソン著 日経BP社
 これらはこの地上に一度として現れたことはないもの。構造上・予算上・情勢上・様々な事情によって、この世に存在することが叶わなかった建築物。それはあったかもしれないもう一つの世界の可能性を垣間見せる。幻影の中にだけ建ちそびえる具象化したユートピアの姿。
 
「郵便配達夫シュヴァルの理想宮」(520ーオ)野広二著 河出書房新社
 それはこの世のあらゆるものを詰めこんだ理想の宮殿。どこかで見たことがあるようで、それがなんだか思い出せない『夢』がそのまま具現化したかのよう。一人の男が道端の石を拾い集め、こつこつ築き上げた驚異の建築は何のために生み出されたのか? 世界遺産となった男の夢、『シュヴァルの理想宮』の物語。
 
「方形の円 偽説都市生成論」(979ーサ)ギョルゲ・ササルマン著 東京創元社
 幾何学的な建物が整然と横に縦にものびる都市、無限に拡大し続けることを強いられた都市、歴史が繰り返される都市…。語られるのはこの世にありえざる都市の話。それは空想か妄想か、それとも。栄枯盛衰を繰り広げた36の夢幻都市物語。
 
「東京幻想作品集」(726ート)芸術新聞社
 私たちのいなくなった『東京』に何があったのか? 街だけが世界に取り残され、在りし日の姿が徐々に新しい何かへと変貌していく。これは私たちが決して見ることのできない光景。遥か未来の東京を幻視した幻想画集。

歴史を共に見届けたもの

「産業遺産巡礼 日本編」(602ーサ)弦書房
 この国の近代工業は常に突き進むことを強い、ついてこれなかったものは誰にも見向きもされず取り残されていった。しかし忘れ去られ打ち捨てられていたが故に、今も当時の姿を保ちながら佇んでいる。産業遺産として再び日の目があたることになったこの国の発展を支えた証人たちを巡る。
 
「一城一話55の物語」(N521ーマ)松平定和著 講談社ビーシー
 日本各地に残された数多の城。当時のままの姿をとどめるもの、在りし日の姿をよみがえらせたもの、ただその痕跡だけをその場所に刻んでいるもの、どれもがその地に生き戦い栄え滅んだ人々の歴史が共にある。城とそれをめぐる人々とのエピソードを一城一話で語る、城と人と物語。
今月の名言
 「おもしろき こともなき世を おもしろく」(高杉晋作)
書を嗜む。
この身の思考に、情緒に、空想に、限りなどない

現状で/事情で/身上で/心情で、
いまその身を思い通りに動けないなら、
花鳥風月/雪月花/天の光はすべて星
この身周囲の四季の自然を識にそばだたせる

その感性だけは摩耗させないために
書に嗜む。